第637回 山陰放送番組審議会 2023年3月9日
<議題>
■審議事項
(番組批評)テレビ自社制作番組
テレビ自社制作番組
『日本のチカラ~生ききる~ALSかあちゃんの泣き笑い日記~』
放送日時: 2023年1月18日(水)11:00~11:30放送
<委員の主な意見>
・「生ききる」という言葉の重さと、彼女の周りへの気遣いや明るさとが際立った番組で、全体によくまとめられた内容であった。
・明るく前向きに、時には笑顔も見せながら生きていく、生ききろうとしている、そういった姿に感銘を受けた。
・悲壮感はなく、自分を受け入れ、前向きに生きようとする姿勢が表れており、さわやかな印象があった。
・難病で苦しむ人に、選択肢は一つではなく、あなたが望めばあなたなりに道は開いていくという足立さんの真剣なメッセージが誰の胸にも届いたのではないだろうか。
・重度訪問介護が完備していて利用されているのが全国の市町村で1割という事実を知って、その低さに驚いた。在宅での生活がこの制度を知ることでもっと出来ることを知ってほしいという摂子さんの意図がよく伝わったと思う。
・摂子さん自身がケアマネジャーであったことは、この制度を利用すること、ヘルパーさんとの関係性の良さにも影響しているのではと感じた。
・娘さんやご主人の表情が穏やかで優しいのと、ヘルパーさんの優しいまなざしでありながら淡々とした摂子さんへの接し方が、見ていて心地良かった。
・共生社会、障害者理解の促進、ヤングケアラーの問題も触れられており、こうした部分の問題提起にもつなげる非常にいい番組だった。
・取材する側とされる側の方向性が非常に一致していたということが心を動かす番組につながっていると思った。
・森谷アナウンサーの口調も重くならないよう配慮がなされているように感じた。
・最初の場面でも何月の撮影なのかという表示の工夫があると、時間経過が分かり易かったと思う。
・時間軸が若干曖昧で、もう少し 明確になると良かった。
・あと2年で声を失うという切実な時間的な問題、ケアマネジャーの経歴を持ち、ケアを提供する側にいた経験をバックボーンにして、重度訪問介護を知らずに亡くなっている方が多い現状を何とかしたいという、重度訪問介護を伝えたいという原動力が番組の制作につながっていた。
・病状に関して、さらにリアルなことを知ることで共感につながることもあり、もう少し深掘りがあっても良かったと思った。
・自立に送り出されたご家族、ご主人や娘さんの気持ちや葛藤などをもう少し語ってもらっても良かったのではないだろうか。
・ご本人の希望だった重度訪問介護制度は、もう少し全体像を示すべきだったと感じる。
・ご本人の口から、「生きる」と「生ききる」は、何がどう違うのか、人工呼吸器を今は着ける気になっていらっしゃるその理由など、話していただけたらさらに伝わるものがあったのではないだろうか。
【出席委員】
(出席)
委員長 上田恭己
副委員長 足立珠希
副委員長 木村隆之
委 員 長岡秀樹
委 員 山口美紀
委 員 吉岡佐和子
委 員 吉田博紀
【書面による出席】
委 員 尾﨑米厚